診療内容

小児整形外科疾患は非常に広い範囲に及び、首から下の運動器(骨、関節、筋肉、靭帯など)を治療対象としています。先天的な疾患(生まれつきの病気)と後天的な疾患(生まれてから発症した病気)に分けられます。成長とともに変化(改善または悪化)することがあるため、定期的な観察をしながら治療を行っています。
診療理念
子どもが本来持っている自然改善能力を十分理解し、成長が終了する時期の状況を見据えて、常に長期の治療戦略を立てながら、日々の治療を行なっています。整形外科疾患は適切な時期の適切な手術が必要なことも多いですが、常にそれに代わりうる保存的な治療法がないかも考えながら治療を行なっています。また、治療や検査を行うにあたり、常に子どもたちの視線にたって対応するようにスタッフ一同努力しています。

当科の特徴
複数の小児整形外科専門医が診療に従事しています。脊椎外科、手外科は他施設から専門医に特殊外来をお願いしています。また、必要に応じて他科と連携しながら治療を行っています。
特殊医療機器
超音波診断装置
股関節疾患、肘内障、皮下軟部腫瘍などの診断に利用します。特に新生児期から乳児期の股関節脱臼の診断に有用です。
MRI装置
脊椎および関節疾患の診断に対応しています。年齢等を考慮して鎮静処置が必要になります。

CT装置
レントゲン写真で判断しづらい部位の診断に有用です。骨の3次元構成は、関節や脊椎の変形形態の描出ができます。

義肢装具
小児専門の義肢装具士が外来日に常駐して装具、義足、車椅子などの製作、修理などに対応しています。

創外固定器(骨延長器)
下肢の長さの違いや変形のある患者さんを対象に、創外固定器を用いて骨長を調整したり変形を矯正しています。
乳児の股関節二次検診について
2018年10月から大府市と東浦町と協力して乳児股関節脱臼の早期診断を行っています。①生後3か月までの赤ちゃん訪問と②生後3、4カ月乳児健診において日本小児整形外科学会が推奨する項目を満たした場合、できるだけ早めに『乳児股関節外来』(第1、3、5週目の火曜午後)を受診していただき、専門医による診察と超音波検査を用いた診断を行っています。必要に応じてレントゲン撮影を追加することがあります。
※他の地域で股関節二次検診を勧められた乳児も同じように対応しております。

学校運動器検診後の受診について
2016年4月から始まった学校運動器検診にて側弯症の疑いなどで整形外科受診を勧められた児の診療を行っています。通常の整形外科外来で対応しています。
日本小児整形外科学会疾患登録(JPOAレジストリー)について
2020年1月より全国規模の疾患登録を開始しました。小児整形外科疾患の発症数、患者動向などの疫学データ、診断・治療に関するデータを収集し、その解析結果から各疾患の原因究明、治療法の検討・開発など、小児の健康・福祉の向上に貢献することが目的です。対象疾患は股関節脱臼、大腿骨頭すべり症、先天性内反足、ペルテス病、筋性斜頚、先天性下腿骨偽関節、先天性垂直距骨の7つです。詳細は、学会ウェブサイト(http://www.jpoa.org/)をご覧ください。